「眠れぬ雪獅子」
東京公演
2011年10月21日(金)~30日(日)
世田谷パブリックシアター
構成・演出・振付/ 謝 珠栄
脚本/大谷 美智浩
音楽/玉麻 尚一
ミュージカル台本/T.S
作詞/謝 珠栄
振付/張 春祥、平澤 智
アクション/渥美 博
美術/松井 るみ
照明/小川 修
衣裳/西原 梨恵
音響/山中 洋一
歌唱指導/満田 恵子
映像/クレイフィールド
ヘアメイク/趙 英
舞台監督/浅沼 宣夫
[東京公演]提携/公益財団法人せたがや文化財団、世田谷パブリックシアター 後援/世田谷区
主催・企画・製作/TSミュージカルファンデーション
S席9,500円・A席6,000円
上演時間:2時間40分(休憩15分含む)
出演:
東山 義久、伊礼 彼方、小西 遼生、今井 清隆、保坂 知寿
照井 裕隆、滝沢 由佳、小野 妃香里、小林 遼介、中塚 皓平、麻尋 えりか、上口 耕平、山田ジルソン
足立 公和、猪原 伸浩、室伏 崇、川口 倫裕、原 謙司、溝渕 俊介、
岩田 国大、黛 一亮、遠山 大介、松岡 雅祥、脇田 伸悟、榎本 成志
「黒い帽子の踊り」―それは、チベットに伝わる“悪霊を鎮める祈りの舞い”であったが、9世紀、仏教を弾圧した暴虐王ラン・ダルマを暗殺するために、僧侶のラルンが踊り手の一人に扮して忍び寄ったことで伝説の踊りとなり、ラルンは王を殺して、自ら“眠りを殺した男”となった。
そして1951年。東チベットの古都チャムドで旅芸人のテンジンは詩人のドルジェと出会い、乞われるままにこの踊りの手ほどきをする。行く手に待ち受ける大きな黒い影と、その影に翻弄される二人の運命も知らぬまま。
チベットの人々の心に根付くターラ菩薩の光が二人を正しき道へと導くのか…。(公式より)
観劇したのは、10月末なんだけど、なかなか感想書けなくて。
TSのミュージカルって、重過ぎて、感想書きづらい。
「風を結んで」は、とてもよかったけれど、少しだけTSミュに対する苦手意識が芽生えてしまったかも。
気楽には観られない。
体調がいいときに、真正面から向き合わねばならないって、自分でハードル上げちゃった(^^;)。
それもあって、1公演しかとらなかった。
でも、観終えたときには、もう1回観てもいいと思えた。
スタダ先行の座席は、B列上手サイド。
上手は、小西くんのファン的には、いい位置である。
スタダチケットは、良席なときが多いんだけど、送付文もなしに薄い封筒にチケット一枚ぴらっと入っているので、いつもひやひやする。
舞台には近かったが、舞台装置や照明、群舞を堪能するには、もう少し後ろの列のほうがよかっただろう。
世田谷パブリックシアターは、アクセスも内部も苦手な劇場である。
三谷のお芝居のときほど混雑しておらず、休憩時間、外のお手洗いはすいていた。
何の知識も情報も入れずに、観始めたが、好みで言うと、「風を結んで」よりこちらのほうが好きだ。
脚本が、しっくりくる気がした。
幕があいても、小西くんは、なかなか出てこない。
だが、主役の東山さんが、驚くべき存在感だ。
特に、お得意のダンスは、すばらしく、目が釘付けである。
歌もいい。
東山さんは、歌を上手に聞かせるテクニックを身につけているように思う。
東山さんのための舞台って感じがした。
が、別にそれが、不満ではない。
彼を主役にすえたことは大成功だったと思う。
そして、準主役の伊礼彼方くんもいい。
眉間に皺をよせて、ずっと悩める表情の彼方くん。
イケメンハーフなのに、切ないアジア系に見える。
配役を書いておく。
テンジン:東山 義久
ドルジェ:伊礼 彼方
ラルン:小西 遼生
ワンドゥ/ラン・ダルマ:今井清隆
ターラ菩薩/占師ドルガ:保坂知寿
パサン:照井裕隆
パジェラターラ:滝沢由佳
ニマ:小野妃香里
ラクパ:小林遼介
ミンマー:中塚皓平
プブ:麻尋えりか
ダワ:上口耕平
ペマ:山田ジルソン
以下、キャスト感想など。
千年以上過去の話と現在の話が交錯するので、最初はわかりにくい。
かつて、仏教を弾圧する王(今井)を暗殺した僧ラルン(小西)。
ラルンの弟ペマ(山田)は兄の行為を記録すべく筆を取るが、命を落とす。
ラルンは、罪の意識に来る隅ながら、生き続ける。
一方、現在のお話。
旅回り一座を率いるテンジン。
「黒い帽子の踊り」は、過去のラルンの話を表したものだ。
その踊りを見て、踊るなと怒りをぶつけるのが、ドルジェ(伊礼)。
ドルジェは、詩人を志していたが、ドルジェの父は、暴君ワンドゥ(今井)に殺されてしまい、ドルジェは、ワンドゥの暗殺を企てている。
最初は、どちらが、どちらの生まれ変わりなのかよくわからなかった。
生まれ変わったキャラが違いすぎて(^^;)。
実際は、ラルンがテンジンに、ペマがドルジェに生まれ変わっている。
ラルンは、剣ではなく筆で戦うことを弟に教えたいのだ。
「黒い帽子の踊り」は、みな、ダンスが得意な人たちなので、ひたすらかっこいい。
歌は、全体的にいい歌なのだが、1公演しか観ていないと、さすがに覚えられず残念。
張り詰めた気持ちで観ているところに、ふとしみいる言葉ややりとりがあって、涙腺が刺激される。
そして、ドルジェをかばったテンジンが死ぬシーンは、涙がとまらなくなる。
やがて、悲しみの涙は、ラストの群舞で感動の涙に変わる。
最後は、希望が見える。
胸いっぱいにあたたかいものがひろがる。
このあたりのカタルシスが、「風を結んで」と違うところだ。
キャストについて。
テンジン:東山 義久
すごくよかった。
彼の得意とするダンスだけでなくて、演技も。
東山さんは、セリフの言い回しにクセがある。だが、それが、今回はかえっていいほうに働いた。
彼の代表作になると思う。
ドルジェの暗殺失敗後、テンジンと二人で山の洞窟に逃げるのだが、そのときの二人の会話がすごくいい。
そして、そのシーンに、ラルンとペマが登場する。
過去と現世が融合される。
ぐっときた。
また、テンジンと一座のメンバーが、「俺たちは剣はもてない。俺たちのやりかたで戦うのだ。」と立ち上がるところもすごくいい。自分たちの芝居で訴えようというわけだ。
このあたりは、TSスタッフさんの想いを感じる。
その想いが結集したテンジンと一座の「大地の微笑み」は、圧巻だった。
ドルジェ:伊礼 彼方
彼方くんも、ほんと、芸の幅が広がったなあと思う。
今回は、骨太で真摯な感じが伝わった。
テンジンに踊りを教わるシーン、ほほえましかった。
(領主を暗殺するために、一緒に踊って、そのときに暗殺しようと試みるのだ。)
踊りの途中で領主を殺そうとするドルジェを必死でとめようとするテンジンの姿に心打たれた。
そして、ドルジェをかばって死ぬテンジンには号泣。
ちょっと「恵みの雨」風だったけど。
歌もよかった。
若手の中では一番。
歌声さえも、真っ直ぐなのね。
ルドルフのときより、歌がうまく聞こえたのは、キーのせいなの?
彼方くんを観ると、次の舞台も観たくなるから不思議。そういう魅力がある。
パンフレットのプロフィールにちゃんとテニミュのことが書いてあってうれしかった。
(小西くんは書いてなかった(^^;)。)
ラルン:小西 遼生
僧侶役、似合ってました。
端整な顔立ちと細見ですらっとした体型に僧侶の衣装が似合う。
苦悩の表情は彼の得意とするところ。
歌も、キーがあっていたのか、うまく聞こえた。
しかし、小西くんって、腕と足が長すぎるのかな?
「黒い帽子の踊り」を踊るとき、超目立つ。
今井さんと共演すると、レミゼを思い出しちゃって困った。
ワンドゥ/ラン・ダルマ:今井清隆
過去も現世も、悪役。
見事に演じきっていたけど、私のフィルターが今井さんをいい人に見ちゃう。
おまけに、圧倒的な歌唱力のため、レミゼ思い出しちゃって。
小西くんも、東山さんもいるしね。
もっと歌を聴きたかったなあ。
ターラ菩薩/占い師ドルガ:保坂知寿
三蔵法師のような保坂さん。
オーラでまくり。
歌声も存在も本当に菩薩様のようだった。
占い師は、打って変わって、汚い老婆風。
どんな役でも、こなす。
アルターメンバーの小林遼介さん、中塚皓平くん、上口耕平くんにも、注目。
中塚くんは、前よりもずっと演技がうまくなったと思う。
それから、一座にかわいい人がいて、調べたら麻尋えりかさんだった。
宝塚出身の方なのね。
以上、まとまらないけど、このへんで。
もう一回観ればよかったと、ひそかに後悔してる。
せめて、歌だけでも、もう一度聴きたい。