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偏愛的独白

ウォーキング・スタッフプロデュース「Dog-Eat-Dog」

2005年9月3日(土)~11日(日) THEATER TOPS

作・演出:和田憲明
出演:中村刑事(中村俊太)、飯田刑事(飯田基祐)、伊達刑事(伊達暁)、津田誠(津田健次郎)
鈴木刑事(鈴木省吾)、野口名美(野村真美)

私がこの公演を観たのは、ある意味、運命的だったのかも。って大袈裟だけど。
たしか、テニミュの卒業メンバー郷本直也とキャラメルの細見大輔が出演する「パリアッチ」を観にいったときに、配られたチラシに、アニプリの乾役の津田健次郎が載っていたので、チケットをとったのだ。
劇場に着いて、パンフレットを買うまで、全く中身を知らなかった。
パンフを見て、あ、ミステリなんだ。当たりかもーと期待に胸を膨らませて、幕が上がるのを待つ。
以下、完全にネタバレします。











はじまりは取調室。塗装会社の経営者が殺され、従業員で知的障害者の津田が逮捕される。被害者の妻は、自分をレイプし夫を殺した津田への憎悪を露わにする。
飯田刑事と伊達刑事は、津田を犯人とする調書を作り、事件解決かと思えたが、班長の鈴木は、執拗に取調べに疑いを持ち、部下たちと対立する。鈴木は、公安あがりである。ここに、不気味な態度の中村を加えて、事件の真相が徐々に明らかになっていくのだが・・・。
狭い舞台にマジックミラーを使った取調室を作り、その中をビデオカメラで写し、刑事部屋のモニターに流すという手法で、刑事ドラマを見ているような緊迫感に包まれる。
正義感が強い飯田、過去に妹が事件に巻き込まれたらしい伊達、違法捜査で公安を追い出された鈴木。
それぞれの個性がぶつかりあう様子は、見ていて、ハラハラする。
美しい被害者の妻に同情を寄せる飯田や伊達と対照的に、女を憎んでいるような鈴木。
すばらしい脚本だ!と言いたいところだが、序盤のセリフを聞いて、はっとなる。
飯田の女を、淫売呼ばわりする鈴木に、鈴木の過去のおとり捜査をぶちまける飯田。
あれ?
これは、横山秀夫のあの作品ではないか?
その後の展開も、予想できてしまうので、先ほどまでの緊迫感が少し薄れてくる。
もちろん、役者の演技は、言うことなしなのだが。
横山秀夫の作品には、知的障害者は出てこないし、ラストも全く変えてあるが、私にはオリジナルというより、脚色作品としか思えなくなってくる。
また、劇中の鈴木と、横山作品の鈴木にあたる人物が重なり合ってしまい、「彼は、実は・・・」と勝手に脳内補完してしまう。
劇は、ミステリアスな展開を経て、強烈なラストをつきつける。
うわー、怖すぎる。ホラーかと思うほどの恐怖。人間の怖さを思い知らされる。
同じ時間帯に起こっている現象を、マジックミラーの内側と外側で順に見せていく手法は、面白い。回っているビデオカメラも、気づくと、とんでもない映像を映し出していて、恐怖が深まる。うまいなあと思った。
役者たちも、個性的な刑事たちをよく演じきったと思うし、難しい役柄の津田も、リアルさを出していた。被害者の妻役の野村真美も、テレビで見るよりもずっとよかった。
舞台としては、すばらしかった。
ただ、残念だったのは、パンフレットに、横山秀夫のことは一切載ってなかったこと。
無料で配られたチラシに、作者(演出家)のコメントがあり、横山作品の3作品から会話などをそのまま使い、コラージュのように再構成して創っているとあった。ほかに、映画『L.A.コンフィデンシャル』などからも引用があると。
うーん、こういうのは、演劇的にありなんだろうか?
ありだったら、最初からチラシでなくパンフレットに載せるべきだと思うが。
もちろん、オリジナリティを感じる部分は多々あったし、演出と演技に不満はない。
が、刑事の人物造形やセリフがあそこまで使われていると、横山ファンの私が見る限り、テレビの横山秀夫サスペンスを、別バージョンで見ているような気になってしまうのだ。
それにしても、たまたま、何も知らずに観たお芝居の中に、横山秀夫を感じるとはね(苦笑)。だから、冒頭に、運命的って書いたのさ。

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