偏愛的独白

宝塚歌劇宙組神奈川芸術劇場公演『ヴァンパイア・サクセション』

2016年5月17日(火)~ 5月23日(月)
KAAT神奈川芸術劇場

ミュージカル・プレイ
『ヴァンパイア・サクセション』
作・演出/石田 昌也

主な配役
シドニー・アルカード(21世紀に甦ったヴァンパイア) 真風 涼帆
マーサ(施設で暮らす老女) 京 三紗
ジェームズ・サザーランド(狂気のES細胞研究家) 華形 ひかる
グレンダ・ソールズベリー(大統領補佐官、サザーランドの元妻) 美風 舞良
クリストファー(病院長、ルーシーの養父) 松風 輝
ノイマン・ヘルシング(新聞記者、ヘルシング教授の末裔) 愛月 ひかる
オリーブ(ハーマンの秘書) 愛白 もあ
ジャスミン(ハーマンの秘書) 結乃 かなり
ハーマン(民間軍事会社の重鎮) 美月 悠
ダニエル(マーサの息子) 春瀬 央季
カーミラ(女の死神、天国の正社員になれず派遣の死神) 伶美 うらら
ランディ(医大生、ルーシーの元カレ) 和希 そら
アイリーン(ダニエルの妻) 瀬戸花 まり
リンダ(ダニエルの娘) 華雪 りら
ルーシー・スレイター(女子大生、両親を911で失う) 星風 まどか

ヴァンパイアが、不幸な過去を持つ少女との触れ合いの中で命の尊さを知り、「人間」になろうとする物語。これまでの耽美でシリアスなイメージを覆し、様々な弱点を抱えつつ21世紀に生きるヴァンパイアの親近感溢れる姿を、コメディタッチでありながらもハートフルに描き出します。
現代のニューヨークに甦ったヴァンパイア・アルカードは、700年という時の流れの中で、「退化という進化」を遂げ、生血の為に人を襲うことも十字架を恐れることもなくなっていた。ヴァンパイア研究家の末裔であるヘルシング16世とも友情を育み、彼のゴースト・ライターとして自らが過去に見聞してきた出来事を「幻想ロマン小説」として執筆する日々を過ごしていたのだ。ある時、出版記念を兼ねたハロウィンの仮装パーティに「ヴァンパイア役(本人役)」で参加したアルカードは、歯科医を目指す大学生のルーシーと出会う。次第に彼女に惹かれていったアルカードに人間になりたいという欲望が高まるが、それは「永遠の命」を持つヴァンパイアにとって、「自殺」に等しい決断だった。



以前ほど、宙組を観ていないので、だんだん顔と名前が一致する方が減ってきてまして、今回も迷ったのですが、真風さんが主演ということで、行ってみました。
中身は余りチェックしませんでしたが、ちらっと読んだ感想が、どれも、脚本をボロクソけなしてまして(^^;、全く期待してませんでした。
おまけに、KAATは遠いよ~( ノД`)シクシク…。
電車の遅延もあり、30分前に到着予定が、遅刻しそうになり、途中であきらめて、買い物して帰ろうかと思ったぐらいですw
しかしながら、往復の交通費だけでも、普段よりかなり高いので、必死で駅のエスカレーターを駆け上がり、KAATに着いても、エスカレーターを駆け上がり、息切らして、どうにか開演に間に合いました。

会場が遠いのは仕方ないとしても、私は、KAATの入口から、ひたすらエスカレーターで上がらなければならない構造が苦手なのです。あの空間が、快適というより、もったいなく感じてしまいます><

座席は、S席ですが、2階A4列サイドブロック。一つ後ろがS席の最後列になるのでしょうか。
とはいえ、視界をさえぎるものがないので、全体を見渡せるお席でした。

あとから気づいたのですが、元星組トップの柚希礼音さんがいらしてまして、カーテンコールで真風さんが紹介してました。

肝心の中身ですが、意外にも、楽しめてしまいました(≧▽≦)。
確かに、ところどころ、「ん??」と感じるところはありましたが、それ以上に、感じるものがありまして、たくさん笑って、じーんとして、美しいものを観て、満足して帰りました。

星組で、三番手だったころの真風さんに注目することがあまりなかったのですが、宙組に来てからは、二番手ということで、いい役が与えられて、キラキラ輝いているように見えました。
ファンじゃない私の目にもかっこよく見えるというのは、宝塚マジックでしょうか。
好みじゃないのに、男役としてのセリフや仕草がかっこよくて、ときめいてしまうパターンですね。
OGで言いますと、大空祐飛さんや蘭寿とむさんがそんな感じで、THE男役って思わせてくれました。

真風さんも、今回の髪型とスーツが、めちゃくちゃお似合いで、かっこよくて、あー、やっぱり、いずれトップになるんだなあと思いました。
で、外見はクールなのですが、中身は、優しくて熱いんですよね。
周りがカリカリなのに、中身がふわふわジューシーなパンケーキみたいなw

あんなふうに優しくされたら、相手がヴァンパイアだろうと化け物だろうと、恋しちゃいますね♥

ところどころにちりばめられた笑いの要素も、私には合っていたみたいで、結構笑いました。

当日券もあったようなので、KAATじゃなかったら、追加してました(断言!)。

それから、二番手主演の公演のいいところは、普段、ほとんど見分けがつかないような役の人(いわゆる下級生)も活躍ができて、こちらが把握できることです。

上記の配役にはないイケメンを発見しました!

潤奈すばるさんです♥
顔立ちのきれいな方で、賀来賢人くんと雰囲気が似ているなあと思いました。
最近、雪組ばかり観てましたが、宙組も、イケメンいますね~。

では、キャスト感想を。

シドニー・アルカード(21世紀に甦ったヴァンパイア) 真風 涼帆
アルカードの綴りは、ドラキュラを逆さにした「Alucard」ですって。
700年生きているということで、過去の戦争で戦ったり、911テロにおいて、消防士として救出に当たったりと、活躍している姿がブレブレの写真に写っているのですが、それを合わせると、真風さんの顔になるのが面白かったです。
くだらなすぎて、笑えました。
戦争はともかく、911は、歴史というには、生々しすぎて、正直、これを脚本に入れて、しかも、幼いヒロインを救出した設定って、どうなの?とちょっと思いました。
そういう細かいところをスルーすれば、血を吸うどころか、草食系紳士の真風さんが素敵すぎて萌えました。
友人のヘルシング(愛月ひかる)に、人間呼ばわりされて喜んだり、鏡に映らないので、ネクタイをしめるのを手伝ってもらったり、いちゃいちゃとしている姿が、微笑ましかったです。
そして、ヒロインのルーシー(星風まどか)や死神のカーミラ(怜美うらら)そして老女マーサ(京三紗)に対する優しさに、心が洗われます。
土砂崩れ?で帰れなくなって、ホテルに泊まることになったときも、ルーシーを休ませ、自分は部屋を出ようとします。
でも、ルーシーが怖がるので、せがまれてお話を聞かせるんですよ~。ルーシーは、すぐ寝ちゃいましたがw
一瞬ですが、ルーシーの首に顔を近づけてしまいます。ヴァンパイアの血が騒いだのでしょうか。
カーミラに対しても、カーミラが生き返れるようにしようとしたり、家族はいても孤独な老人マーサにも、誠実に接します。
ヴァンパイアであることがバレたときも、ルーシーのために、身を引くんですよね。
もう、真風さん、いい人すぎです♥
ルーシーとのカップルは、年の差を感じるので、どうしても、真風さんが大人で、ルーシーが子供っぽく見えてしまうのですが、真風さんの包容力がにじみでていて、それはそれでよかったと思います。
最終的に、永遠の命を選ばずに、真剣に相手を愛し、愛されたために人間になれるのですが、人間となった真風さんは、大人なんだけど、人間としては新米というのが、かわいかったです。
真風さんは、真面目キャラなので、そこが笑いを誘うのかなあ。不思議な魅力がありますね。
マーサおばあさんのお葬式のときの、喪服姿もかっこよくて、真風さん、一生スーツ着ていてほしいですw
ヴァンパイア姿で、1階席通路に登場した時も、かっこよかったです。
かっこいいの連呼ですみません。
しみじみ、真風トートを観たかったなあと思いました。

マーサ(施設で暮らす老女) 京 三紗
愛らしいおばあさん役です。
余命は短いようで、ご主人との思い出を大切にしています。
永遠の命よりも、愛に包まれて死ぬことが幸せだとわかっています。
息子夫婦と孫とは離れて暮らしていて、割と冷たくされている感じです。
息子夫婦にもいろいろ事情があるんだろうと思いつつ、ここは、実家の母を思い出し、もっと優しくしてやらないとなあとしおらしく思いました。
さりげないところに、作者のメッセージを感じました。

ジェームズ・サザーランド(狂気のES細胞研究家) 華形 ひかる
登場した瞬間、宙組にこんなかっこいい人いたっけ?と思いました。
専科から華形さんが出演することを忘れてました。
あー、やっぱり、かっこいいです。
が、かっこいいけど、出番少ないし、いまいちな役でした><
「狂気の」っていうほど、狂気は感じないし、死神のうららさんが、心の中に潜入した時も、冷たいって言っていたけど、実際は、それほどでもない感じでした。
この役自体が、薄っぺらくて、掘り下げていない印象です。
自分の研究のために、真風さんをとらえたり、拷問したりしないし。それでいて、ヴァンパイアだと簡単にバラすんですよね。
おまけに、最後は、銃を持ち出して、真風さんを撃つと思いきや、自分を撃ちました。えっ?
ここは、真風さんが人間になったことを証明するシーンでもあるので、無理矢理な展開でした。
余命いくばくもないので、銃で自殺。
助けようと、華形さんの首を噛む真風さん。だが、人間となった真風さんが噛んでも、華形さんは、生き返らないという流れなんですけどね。
ちょっと変ですよね(笑)。

ノイマン・ヘルシング(新聞記者、ヘルシング教授の末裔) 愛月 ひかる
男っぽくなりましたね~。
以前は、声に癖があって、かっこいいけど、余り男っぽくないなあと思っていたのです。
今回は、すっかり、大人の男性に成長してました。存在感もアップ。
真風さんとの友情が、よかったです。
世話を焼いているところを、女子にみられて、怪しまれるシーンもありました。
宙組三番手としての貫禄がついてきた気がして頼もしく感じました。

ハーマン(民間軍事会社の重鎮) 美月 悠
これまで、全く印象になかった方ですが、冒頭から、かっこよく登場し、悪役を好演してました。
真風さんを悪用するために、ルーシーを誘拐するのですが、簡単に奪還されるところはおまぬけですね。

カーミラ(女の死神、天国の正社員になれず派遣の死神) 伶美 うらら
派手派手な衣装で登場し、度肝を抜きましたが、うららさんじゃないですか。
いや、もううらら様と呼びたいw
派手だし、ヤンキーっぽいし、貫禄あるし、一気に話題をさらっていきましたね~。
真風さんも顔負けの存在感です。
でも、ちょっと残念なのは、ヒロインじゃないんですよ。
真風さんとは、コンビを組むわけじゃないんですね・・・。
ちょっとごついですが、顔はきれいだし、華はあるし、魅力的な娘役なので、もったいないですが。
二股かけて、バレて、無理心中されて、死神になったという設定です。
まだ上司である「黄泉の帝王」に認められてないらしいです。
が、実は、派遣社員とあるのは、正式に死んでないからなのです。生死の境をさまよっているからなのです。
人間からは、見えませんが、吸血鬼である真風さんからは見えるという設定です。
死期の近いマーサからも見えました。
真風さんが、永遠の命を与えようとしますが、断ります。
そのまま、死んでいくかと思いきや、ラストで、鮮やかに生還!
真風さんに「はじめまして」なんて言うから、記憶消えたんだと思ったら、全然消えてなくて、ぶりっこしてるだけだったのが、おかしかったです。
愛月さんのことが気に入ったようで、カップルになるようです。

ランディ(医大生、ルーシーの元カレ) 和希 そら
分数の足し算もできないのに、なぜか医学生で(笑)、ルーシーに片思いの学生です。
少女漫画のような外ハネの髪型が、似合っていて、おばかっぽいところが、かわいいです。

ルーシー・スレイター(女子大生、両親を911で失う) 星風 まどか
ヒロインですね。
やや子供っぽさを感じるので、女子大生役はぴったりです。
でも、前作「シェイクスピア」のときのほうが、よかったと思いました。
歌も芝居も、卒なくこなすので、恐らく、いずれは、トップになるのでしょう。
が、個人的には、あまり好みのビジュアルではないのでした。


作者は、生と死を、対比させているのでしょうか。
ヴァンパイアである真風さんをはじめ、ルーシー、マーサ、カーミラらを通じて、命の大切さを伝え、生きる意味を問うていながら、サザーランドとその元妻(ヴァンパイア誘拐失敗後、抹殺されてしまい、天国で、サザーランドと再会)の死は余りに簡単に描かれています。
敢えて、そう描いて、命が軽んじられている現代への警鐘としているのでしょうか。

脚本には突っ込みどころ満載ですが、楽しめたので結果オーライです。
それと、笑いのセンスは、私と合っていました。

次は、「エリザベート」ですが、チケットとれないかもしれません。


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