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偏愛的独白

グランドホテル GREEN team

ミュージカル「グランドホテル」

2016年4月9日~24日
赤坂ACTシアター

脚本:ルーサー・ディヴィス
作詞・作曲:ロバート・ライト&ジョージ・フォレスト
追加作詞・作曲:モーリー・イェストン
演出:トム・サザーランド
振付:リー・プラウド
音楽監督:マイケル・ブラッドリー

翻訳・訳詞:市川洋二郎
美術:大橋泰弘
照明:勝柴次朗
音響:山本浩一
衣装:前田文子
ヘアメイク:鎌田直樹
演出助手:河合範子
舞台監督:北條孝/中西輝彦

出演(GREEN)
オットー・クリンゲライン:中川晃教
フェリックス・フォン・ガイゲルン男爵:宮原浩暢(LE VELVETS)

ヘルマン・プライジング:戸井勝海
フレムシェン:昆夏美

エリック:藤岡正明
ジミーズ:味方良介/木内健人
ズィノヴィッツ:大山真志
サンドー:金すんら
ローナ:友石竜也
運転手:青山航士
ヴィット:杉尾 真
ベルボーイ:新井俊一
マダムピーピー:真瀬はるか
トルード:吉田玲菜
トゥッツィ:天野朋子
ホテルスタッフ:岡本華奈

スペシャルダンサー:湖月わたる

ラファエラ:樹里咲穂
オッテンシュラッグ医師:光枝明彦

エリザヴェータ・グルシンスカヤ:安寿ミラ

S席:12000円
A席:9000円

上演時間:2時間5分(休憩なし)


1920年代ベルリン。様々な人間のドラマが交差する豪華ホテルの一夜を描いたミュージカル『グランドホテル』。
若く美しく、だが貧しいフェリックス・フォン・ガイゲルン男爵は、ギャングによる借金の取り立てから逃げている。帝政ロシアで一世を風靡したバレリーナ、グルシンスカヤは座員を養う引退興行のためにベルリンへ。重い病を患う会計士、オットー・クリンゲラインは、これまでの貯金を全て使って、人生の最期の日々を豪華なホテルで過ごそうとしていた。傾きかけた織物工場の娘婿社長プライジングは、会社を立て直す会合のためにホテルへ。ハリウッドでスターになることを夢に見るタイピストのフレムシェンはプライジング社長の私設秘書に誘われる。偶然にもグランドホテルで出会い、それぞれの人生が変わるような一夜を過ごす。
「グランドホテル、ベルリン。いつも変わらない。誰かが来て、誰かが去っていく。ひとつの命が終わり、ひとつの命が生まれる……。ひとつの心が引き裂かれ、ひとつの心が高鳴る……。ひとりの男が牢獄へ行き、ひとりの男がパリへ旅立つ。いつも変わらない。時は過ぎる、淡々と。人生も回り続ける。グルグル、グルグルと……。では、もう一日、いるとしようか。」(公式より)



恥ずかしながら、映画も観てないし、来日版、宝塚版、2006年版も、全く知らず。
ただ、豪華キャストと演出家に惹かれて、チケットを購入。
演出が、昨年の「タイタニック」で感動したトム・サザーランド氏なのである。

発売前から、トークショーなどのイベントが発表されていたが、チケットの売れ行きはかんばしくなく、割引、お土産付き、ゲネプロつきと乱発><
私は、先行手数料を払い、A席を買っていたので、ちょっとがっくり。
売れ行きの悪さの原因は、時期が悪かったと想像する。
帝劇で「1789」があり、クリエで「エドウィン・ドルード」が上演中。
私の友人も、この作品の曲のすばらしさを知りながらも、「1789」に通うため、断念したとのこと。

座席は、2階H列サイドブロック。
A席は、2階G列から始まるが、私の後ろの列は、空席だった。
1階と2階のS席は、ほとんど埋まっていたように見えたが、関係者が多かった感じがする。
入場の時点で、関係者受付が行列だったし、ロビーも狭いのに、関係者と主催者が通路で挨拶を交わし、その横にお花が飾ってあるので、狭すぎて右往左往してしまった。

休憩なしなので、私が大嫌いな赤坂ACTシアターの休憩時間のトイレ行列がないのが、救い。

飾られた多くの花をぼーっと見ていたら、


ぴろし、発見!

矢崎広くんです。
「タイタニック」に出演していたもんね~。
ほかには、上口耕平くん、石井一彰くん、植本潤さん、朝隈濯朗さんも。

俳優として観ておくべき舞台なんだろうなあ。

REDとGREENの二つのチームがあり、結末が異なるということはあらかじめ知っていたが、どちらがハッピーエンドなのかは、知らずにいた。

日程の都合で、GREENを先に観劇。
こちらが、悲劇的な結末であった。

オーケストラは見えないところにいて、オケピもつぶして舞台となっていた。
舞台装置が素敵!
実は、ホテル大好きなので、こんなホテル泊まってみたいと思った。
中央の回転扉がぐるぐる回り、階段が出てきたり、フロントとホテルのドアになったり。(うまく説明できずすみません。)
2階部分は、ホテルの部屋のドアが並んでいる。

舞台の中央に椅子が置いてあり、その上に、ベルがのっている。
そのベルをスペシャルダンサーの湖月さんが鳴らして、始まるグランドホテルの朝。

机の上や椅子の上に乗る演出が多い。
そして、キャストをかつぐ演出も。
女性をかつぐのは楽そうだが、戸井勝海さんをかつぐ藤岡くんは、毎回大変そう。(REDでは、吉原光夫さんだし。)

細かいことだけど、帽子をかぶった姿は、A席からは顔が見えなくて、つらい。
誰が誰だか、わからないし、表情も見えないし。これは仕方ないか。
でも、男性であっても、顔の下半分しか見えないと、かなり老けて見えてしまうものだ。

音楽は、印象的なものと、そうでないものがあり、CDが欲しい。

ストーリーと歌を追いたいけれど、とりあえず、忘れないうちにキャスト感想。

オットー・クリンゲライン:中川晃教
群像劇だとはわかっていたけど、オットーが主役に思えなくて少し残念。
歌も演技もよかったんだけど。

フェリックス・フォン・ガイゲルン男爵:宮原浩暢(LE VELVETS)
クリエの「スパークリングボイス」で、実力はわかっていたが、素晴らしい歌声。まるで、コンサートのよう。
外見も男爵として申し分ないけど、やや硬い演技。
初ミュージカルなのだから、仕方ない。
男爵とグルシンスカヤの愛がクローズアップされすぎたのか、オットーとの友情は薄味。
男爵の運命を知らなかったので、本当に驚いた。
宮原さんは、ワルの表情もいいので、悪役も合いそう。

ヘルマン・プライジング:戸井勝海
真面目な社長を好演。
なぜ、こんなことをしてしまったのかわからない感じが出ている。
フレムシェンに対する欲望のシーンは、怖かった。
戸井さんって、いい人キャラだけど、裏の顔を持った役がうまい。

フレムシェン:昆夏美
歌も演技もいいんだけど、かわいすぎるかなあ。
フレムシェンって、本当はどういう役なんだろう?
野心があってハリウッド目指すなら、昆さんタイプじゃないような気がする。

エリック:藤岡正明
ややもったいない使い方かなあ。
暗い表情が多いし。

ジミーズ:味方良介/木内健人
何となく時代の影を感じるこの舞台の中で、唯一救いのあるキャラかなあ。
歌って踊っての楽しいシーンが多い。
ジミーズっていうネーミングには、テニミュファンは、苦笑いするだろうね。
木内くんは、初めて観ると思っていたら、「貴婦人の訪問」に出ていたみたい。

ズィノヴィッツ:大山真志
HPの写真では随分、すっきりしたように見えたけど、実際は違った(≧▽≦)。
貫禄ありすぎw
だが、この舞台では悪くない。
戸井さん演じる社長と堂々と渡り合う。
そして、アンサンブルのときは、キャストを軽々と担ぎ上げる。
チャールストンを踊る時の必死さには目を奪われる。
どこにいても、大山真志ってわかるのは、ある意味すごいな。

運転手:青山航士
青山さんが、セリフをしゃべっていることに驚く。
何となく、ダンサーかコーラスというイメージだったから。

ヴィット:杉尾 真
初めて観る人だったが、遠くから見ると、大野くん(ロミオ)に見えるよ~。

トルード:吉田玲菜
どこかで見たような顔立ちだが、印象に残った。

スペシャルダンサー:湖月わたる
死のダンサーだと思っていたが、公式によれば、「命の灯火が消えようとする、その瞬間に現れる愛と死の化身。」とのこと。
さすがのダンスで、魅了。
登場すると、ついオペラグラス追ってしまう。
黒ずくめの衣装で、踊るので、ロミジュリ宝塚版の死を思い出した。

ラファエラ:樹里咲穂
登場した瞬間は、地味だなあと。春野さんのほうがよかったんじゃないかと思ったけど、ラファエラは、裏方的な雰囲気でよかったのだ。
樹里さんは、歌もうまく、グルシンスカヤに対する尊敬と愛情がよくわかる演技だった。

オッテンシュラッグ医師:光枝明彦
裏の主役かなあと思うぐらい、よかった。
その演技、その声、好きだ。

エリザヴェータ・グルシンスカヤ:安寿ミラ
年を重ねてもきれいな安寿さんにぴったりの役。
歌も多く、男爵とともに、主役級だなあと。
男爵との年齢のやりとりがいい。

男爵「29歳」
グルシンスカヤ「嘘」
男爵「29歳と29か月」

逆に、年齢を聞かれ、
グルシンスカヤは、「49歳」と最初答え、次に「49歳と49か月」と言う。

(とっさに、計算しちゃった><)

誇りを持ちながらも、老いに自虐的になり、若い男爵を恐れるも、恋に落ちてしまうそんな女心が出ていて、よかった。


結末について。

非常に衝撃的だった。

それぞれの旅立ちを迎えるグランドホテルのロビー。
希望に満ちていたはずが、いきなり、ホテルスタッフが、客の身ぐるみをはぐ。
中央に投げ出される荷物。

大音響で流れるヒトラーの演説。

何が起こったかよくわからなかった。

そして、今のは、幻?と思っているうちに、終幕。

どういうことなの???

何とも言えない気持ちで見終えたが、帰宅して、HPを見て、演出家のメッセージを知る。
HPがいつか削除されるかもしれないので、以下に引用させていただく。









GREENチームのエンディングについてお伝えしたいことがあります。

このエンディングは非常に奥深く、この作品のメッセージを観客の皆さんが理解してくださっているのが見えて、嬉しく思っています。
しかしながら、我々が表現しようとしていることの意図とメッセージを、キャストの皆さんに理解してもらうためにも、もう一度ご説明します。

グランドホテルの最後のシーンで、観客は、人生の始まりを、たとえ死・殺人・レイプ・嘘があっても人生は続くということを「オットーの目」を通して見ることができます。
そして、希望があり、ドイツは楽観的であるべきだということも感じられます。
しかしながら、ドクターのスピーチの後、グランドホテルが死に向かっているのが見え、ホテル自体がドイツを表し、それは今の現実世界をも表しています。
暴力を受け、物品を奪われる人々は社会の(特にグランドホテルの、そしてナチスの)犠牲者です。

グルシンスカヤはロシア人の名前を持ったフランス人であり、しかも芸術家なのでナチスに嫌われていたでしょう。
彼女の特徴はナチスが嫌ったものばかりです。
そして、ラファエラは彼女のセクシャリティから、ヴィットとサンド―は芸術家のために働くボヘミアンだったから、プライジングは犯罪者だったから、オットーはユダヤ人だったから、そしてフレムシェンはそのユダヤ人の男と一緒に暮らしていたから、それぞれナチスから嫌われたでしょう。

全てのゲスト(グランドホテルの客)は、当時のドイツとナチスが攻撃の対象としたものを表しています。
ゲストたちがエリックに持ち物を与えるシーンは、例え彼ら自身は時間切れとなってしまっていても、まだ将来に希望を持っている、ということを表現しています。死と直面したときでも、人は希望をもち、人生は続いていくということです。
この先、彼らは政府に迫害されるけれども、それでも将来への希望を捨てていないのです。

そして、この作品の最後のシーンで一つだけ追加をお願いします。

エリックが最後に客席に降り、客席後方に歩いていく際、照明がフェードアウトするタイミングで、ステージ上のゲストのみなさんは観客をまっすぐに見てください。
こうすることで、ステージ上のゲストたちは観客にとっては別の時代、別の世界の人々ではありますが、現代の世界を表す鏡のような存在であるということを、観客に伝えられると思います。
ステージ上のみなさんは、エリックを見るように観客を見てください。
そして、観客の皆さんも、この時代では難しいことではありますが、希望をもち、楽観的に、そして自由に生きられる可能性を持っていることを表現してください。

最後に一つ。最後のラジオ放送について。
このラジオのスピーチではアドルフ・ヒットラーがドイツの人々にこう話しています。
「誰かがきて、誰かが去っていく。しかし残った人々は幸せになるだろう。彼らは将来が彼らと共にあることを知って、幸せになるだろう。将来はあなた方の手にある。ドイツ万歳!」
このスピーチは現代行われてもおかしくない内容です。強引な口調で、国家威信を謳っています。現代の政治家たちが行っていることと同じです。

ホテルスタッフたちが前に出てくるとき、彼らは「悪」ではないということを理解してください。彼らはただ、彼らを支配し、彼らかずっとほしかったものを与えてくれる声に惑わされているだけです。
あのヒットラーの声は、作品の最初よりもグランドホテルの人々を分離します。そしてゲストたちは自分たちがドイツの犠牲者になることを知りながら、残るのです。

もう既に皆さんを恋しく思っています。そして公演が成功し、幸せに包まれることを祈ります。

トム・サザーランドより



とのこと。

これは、2回以上観ないと、理解できないかも。
A席は、遠すぎて、実は、エリック役の藤岡くんが、客席に降りていくところを見逃した。
あっけにとられていたせいもある。

トム・サザーランド氏のメッセージは、奥深いが、受け止めるこちら側の感性も研ぎ澄まされてないと、ダメだなと痛感。

果たして、REDチームは、どんな感想になるのか。

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