偏愛的独白

コンフィダント・絆

『コンフィダント・絆』

2007.4.7-5.6 パルコ劇場
2007.5.10-5.31 イオン化粧品シアターBRAVA!

作・演出:三谷幸喜
企画・製作:株式会社パルコ
出演:スーラ(中井貴一)、ゴーギャン(寺脇康文)、シュフネッケル(相島一之)、ルイーズ(堀内敬子)、ゴッホ(生瀬勝久)
音楽・演奏:荻野清子

三谷幸喜の芝居を生で観るのは初めてである。いつもチケット争奪戦に敗れてきた。今回も、すべての先行に外れ、ヤフオクの高騰を指をくわえて見ていた。大阪公演なら、まだチケットが売れ残っているのに、東京公演は、競争率が高すぎる。
こまめに、定価掲示板をチェックしていたところ、やっと一枚だけゲットすることができた。
ゴッホやゴーギャンが出てくる話ということだけしか知らずに会場へ。体調が最悪だったので、よっぽどやめようかと思ったが、これを逃したら、二度と観られないような気がして、仕事を早退して渋谷へ。
パルコ劇場は狭いなあ。約450席。これじゃあ、どう頑張ってもチケットがとれるわけがない。
ロビーは盛況で、ふと見ると、きゃああああああああああああ!
心臓がとまるかと思った。な、なんと、私の大好きなユーミンが目の前に。ご主人の松任谷正隆氏とともに、いるじゃないか。
もう、風邪も吹き飛んで、ユーミンに会わせてくれた三谷さんに感謝。
コンサートでは遠くでしか見られないのに、至近距離にいて、ドキドキ。ユーミンは、映像で見るよりも、ずっときれいでかっこよかった。こういうとき、声をかけたりするのは、余りよくないのかもしれないと思い、特に何もせず。堀内敬子さんが、ユーミンソングミュージカルに主演された関係で呼ばれたのか、三谷さん経由なのか。
ユーミンの座った席周辺は関係者席なのだ。見知った顔がちらほらと。やっぱり、三谷さんの芝居は、芸能人にも大人気なのだ。だもの、一般人は、更に激戦だわ(泣)。

ストーリーは、1988年、パリ。ムーランルージュの近くのアトリエに集う無名の画家たち。ゴッホ、ゴーギャン、スーラ、シュフネッケル。
ある日、シュフネッケルがモデルとして、ルイーズをアトリエに連れてくるところから物語は始まる。
シュフネッケル以外の絵は知っているし、ゴッホやゴーギャンの一般的な話も知っているが、個人的には、彼らの絵画が特に好きなわけではないので、彼らに対する興味も普通の域を出なかった。
しかしながら、この芝居を観た後では、俄然、彼らの物語を知りたくてたまらなくなった。三谷さんのお芝居がかなりのフィクションだとしても。

舞台にはすぐにひきこまれた。
最近はミュージカルばかり観ているが、私はやっぱり、ストレートプレイが好きなのだ。しかも、三谷幸喜は、天才だ。
脚本がうますぎる。
笑いももちろんあるが、笑いよりも、人間ドラマに、胸が苦しくなる。天才と凡才…それは、動かしがたい宿命。
友情とは一体何なのか。そして、コンフィダントの意味は…。

すばらしい脚本を、芸達者な俳優達が更に盛り上げる。
スーラの真面目でいて、コミカル、そして強烈な嫉妬を、中井貴一が意外にも好演。
ゴーギャンの寺脇は、飽くまで男前でかっこいい。女にモテる感じだ。
シュフネッケルの人の良さ、鈍感さを相島一之が、さりげなく表現する。
そして、生瀬のゴッホ。ゴッホの天才肌、無邪気さ、繊細さを余すところなく演じている。
堀内敬子は、かわいくて田舎っぽい娘役がよく似合う。超美人でないところがかえっていいのかもしれない。しかも、歌が絶品。
ピアノの生演奏に合わせて、彼女が歌う「ゴーギャン、ゴッホ、スーラ、シュフネッケル」の歌が、時には陽気に時には哀切に響き、終演後も、そして、いまだに頭から離れない。
もしかして、ユーミンソングミュージカルも、この人のバージョンのほうがよかったのかもしれない。
それにしても、ある意味、残酷な物語でもあった。
多くの人間は、凡才なのだ。ただ、凡才であることを、いかに自覚するかが重要なのだ。
三谷幸喜のお芝居、次回も何とかして生で観たいと思った。
終演後、ロビーに、彼ら4人の絵画が飾ってあることに気づく。シュフネッケルの絵画を初めて見た。お芝居の始まる前にこれらを見ておけば、更に想像力がかきたてられたと思う。

ミュージカル『ジキル&ハイド』

ミュージカル『ジキル&ハイド』

2007.4.5-4.29 日生劇場

原作:R.L.スティーヴンソン
台本・作詞:レスリー・ブリッカス
作曲:フランク・ワイルドホーン
演出:山田和也
上演台本・詞: 平哲郎
音楽監督:甲斐正人
装置: 大田 創
照明: 高見和義
衣裳: 小峰リリー
振付: 上島雪夫
主催・企画製作:東宝・ホリプロ・フジテレビ
出演:
ジキル&ハイド:鹿賀丈史
ルーシー:マルシア
エマ:鈴木蘭々
アターソン:戸井勝海
ダンヴァース卿:浜畑賢吉
丸山博一、宮川浩、大須賀ひでき、荒井洸子、有希九美
阿部よしつぐ、石山毅、岩田元、大江直毅、岡田誠、小関明久、中西勝之、秋園美緒、岡本茜、園山晴子、平澤由美、真樹めぐみ

全く観るつもりのなかった舞台。出演者の誰のファンでもないし、ホリプロのミュージカルは、当たりハズレがあると思っているので(^^;)、スルーの予定だった。
が、ちょっとしたきっかけで、かなりの良席で観ることに。
鹿賀丈史が主役で、今公演がファイナルということは知っていたが、特にパンフも買わず、開演ギリギリの到着。
軽い気持ちで観始めたが…。
あれ?あれ?
意外と、いいじゃん!何より音楽が素敵!ぐっとひきつけられた。
そして、テレビでしか知らなかった鹿賀丈史が、こんなに立派なミュージカル役者だったなんて!
「レ・ミゼラブル」に出ていたことなどは知っていたけど、生の歌声を聴くのは初めてだったので、びっくり。
そして、演技力が要求されるジキルからハイドに変わる瞬間の演技がすばらしかった。音楽や照明の演出効果だけでなく、鹿賀丈史本人の力が大きいと思う。
とてもとてもかっこよかった。
マルシアも、エロティックで、かわいらしく、堂々とした演技。
戸井勝海は、今回初参加ということだが、存在感があってよかった。すらーっとしていて、紳士的な役がぴったり。
鈴木蘭々も、きれいな声なのね。あの時代のメイク、衣装がとってもよく似合っていて、テレビで見るより、美しかった。舞台栄えする人なのかもしれない。メインキャストの中で、マイクが一人だけ口元に近いのは、声量の違いか。
そして、安心して聞けるアンサンブルの皆さん。どこかで見た顔だと思ったら、阿部よしつぐじゃない!テニミュの初代タカさんだよ!
公演後、買う予定のなかったパンフを購入。これまでの出演者のコメントなども集めてあり、1500円は、お得感がある。
帰宅して読んでみたら、振付が、上島先生で、これまたびっくり。
ストーリーは、決して明るいものではないし、殺人シーンなど残酷な演出もあるが、人間の二面性、苦悩、罪と罰などを考えさせられる舞台だった。
ラストシーンは、涙を誘う。
そういえば、休憩時間に、ミュージカル『エア・ギア』の某キャストを見かけたような気がしたが…。

恋の骨折り損

彩の国シェイクスピア・シリーズ第17弾『恋の骨折り損』

2007.3.16-3.31 彩の国さいたま芸術劇場

原作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:松岡和子
演出・舞台監督:蜷川幸雄
出演:北村一輝(ナヴァール国王ファーディナンド)、高橋洋(ビローン)、窪塚俊介(デュメイン)、須賀貴匡(ロンガヴィル)
藤田びん(ドン・エイドリアーノ・デ・アーマードー)、大石継太(コスタード)、清水幹生(サー・ナサニエル)、戸井田稔(ホロファニーズ)、岡田正(ダル)、西村篤(モス)大富士(林務官)、沢田冬樹(ジャケネッタ)
姜暢雄(フランス王女)、内田滋(ロザライン)、月川悠貴(マライア)、中村友也(キャサリン)
青井陽治(ボイエット)、今村俊一(マーケードー)
ほか

男優のみで演じるオールメールシリーズ第3弾。
蜷川演出ということと、舞台の北村一輝が観たくてチケとり。
2公演とったが、1公演しかいけず。
ロビーでは、楽団の生演奏があった。パンフだけ買う。
座席は、G列サイドブロックだが、劇場が小さいので、非常に舞台に近く、通路にも近かったので、役者がよく見えた。
オープニングは、恒例の通路席からの登場。うわー、近いよぉ!
おまけに、女装キャラが通るときには、いい香りが(笑)。
相変わらず、月川悠貴の美しさ、しなやかさに、うっとり。姜暢雄は、きれいだが、ごつかった(^^;)。
そして、舞台は、一面の柳。美しい緑をバックに繰り広げられる恋愛喜劇。柳の奥では、生演奏。
役者達の衣装も豪華。見ているだけで楽しい。
手紙を読むシーンでは、ラップを使ったセリフ回しが、非常に新鮮だった。こんな面白い使い方があったのか!シェイクスピアも驚いていることだろうよ。
このラップシーンだけでも、もう一度観たい。
お下劣なネタもちりばめられていて、笑いを誘うが、アーマードの小姓・モスのズボンが落ちて、生足&葉っぱの姿は、意外と受けない。私も苦笑い。余り繰り返すと飽きる。

北村一輝は、舞台映えする。ドラマとは違ったコミカルな役だが、濃い顔で演じるので、そのギャップがかえっていい。
お相手役の姜暢雄は、美しいのだが、顔が米倉涼子そっくりなのだ。どこかの清張ドラマじゃないか(^^;)。
最後まで米倉のイメージがぬぐえなかったのが、残念。仕方ないけど。
そして、蜷川喜劇にこの人ありとは、高橋洋!今回も天晴れ!
この人がいなかったら、3時間20分はきつかったかも。とにかく、うまい。最初から一人で汗かいていたね。シェイクスピアの長ゼリフを安心して聞ける。しかも、心地いいんだわ。
窪塚俊介は、私としては微妙。この人、うまくないよね(^^;)?
須賀貴匡は、予想外に頑張っていた気がする。ただ、北村一輝とからむとドラマ『夜王』を思い出させる。その主役の松岡くんが観に来ていたとか?(未確認情報)
ほかの女性陣だが、内田滋が、突出。笑いをすべてとっていってしまった感じ。大袈裟な演技なんだけど、つい笑っちゃう。
月川悠貴は、美しすぎ。ただ、できれば、もっと出番が欲しかったな。中村友也も、そのへんにいる女性みたいで自然な演技。

ほかに印象的だったのは、コスタード役の大石継太。芸達者である。
アーマードー役の藤田びんも、大体はよかったが、セリフを噛む回数が多かった気がして気になった。
ダル役の岡田正が通路を通るシーンで、洋ナシみたいなものを食べていたので、何かと思ったら、玉ねぎだった!臭い、臭い(笑)。

ほかにも、役者が前のほうの客席に話しかけたりのパフォーマンスもあって、サービス満点。
カーテンコールは、3回ぐらいだったかな。最後は、まばらだけど、スタンディングオベーション。
楽しい舞台だった。