偏愛的独白

Studio Life『白夜行 第一部』

Studio Life『白夜行 第一部』 2005.9.14~10.1 紀伊國屋ホール

原作:東野圭吾
脚本・演出:倉田淳
出演:桐原亮司:山本芳樹/笠原浩夫、唐沢雪穂:及川健/舟見和利、古賀久志:山康一、ほか。
詳細は、公式HPへ(http://www.studio-life.com/)。

男優だけの劇団「Studio Life」が、東野圭吾の傑作ミステリー『白夜行』を舞台化するということで、原作を読んでから、観にいった。
二部構成で、まずは、第一部を9月に、第二部を12月に公演という珍しい形式である。
初めは、無謀だなあと思ったけど、この重厚な原作のプロットだけを追いかけるのではなくて、忠実に再現するためには、二部構成にしたのは、正解だったと思われる。
驚いたのは、原作にほぼ忠実に舞台化していることだ。以前、皆川博子の『死の泉』を観たときも、そうだったが、脚本&演出の力のすごさを感じた。
舞台装置も、凝っている。舞台の上部にスライドを使い、当時の世相を反映した映像を映したり、場面が変わると、背景がスライドで映されるので、非常にわかりやすくなっている。
原作の中から、亮司と雪穂が飛び出してきたような錯覚に陥るほど、舞台の上で、役者が生き生きと動いており、原作を知らない人でも、十分楽しめる。
作品の暗さ、怖さが、じわじわと伝わってきて、中身を知っていても、緊張感が高まる。
映画やドラマでも、ここまですばらしいものは、できたかどうか。
ミステリ的には、複雑な話だが、丁寧に演じられているので、混乱することもない。ただ、ひたすら、どうなるのか、心臓の高鳴りを覚えながら、舞台を凝視する。
休憩をはさんで、3時間近い舞台だったが、飽きるどころか、早く続きが観たくて仕方ない。第二部は、12月だが、それまで、この興奮は、持続できそうだ。
ただ、一つ残念なことは、亮司と雪穂のダブルキャストの一方しか観られなかったこと。
できれば、及川健の雪穂が観たかった。舟見和利の雪穂が悪いわけではないが、彼が演じる女性に、違和感を覚えるので、それだけが心残りだ。ちなみに、第二部では、及川健は出演せず、岩崎大と舟見和利のダブルキャストとなる。

さよならジョバンニ 君に捧げよう銀河の調べを

聖ルドビコ学園2005年度2学期生徒会公演
『さよならジョバンニ 君に捧げよう銀河の調べを』 2005.9.8~18 サンモールスタジオ

作・演出・振付:桜木さやか
出演:桜木さやか、上谷佳澄、工藤利恵、宍倉香織、林修司、宮島幸春、桑島ゆりこ、堀内学、MARCO、仁瓶あすか、今里真ほか(出演予定の蒼明希は、病気のため、途中で降板、代わりに西丸優子、人見はる菜が出演とのこと。)

ロック・ミュージカル『BLEACH』を観た時に、チラシが入っていた。白哉役の林修司さんが出演されるということで、チケットをとってみた。
聖ルドビコ学園の説明は、サイト(http://www.ludvico.com/)にあるが、ちょっと変わった感じの劇団である。
サンモールスタジオを訪れると、受付では、明るい声で、「ごきげんよう!」と声をかけられる。受付の女性は、学園の先生で、観客は生徒なのである。(いやあ、トシくった生徒で申し訳ない。)
ロビーで待っていると、出演者のご家族様が差し入れに来たり、トイレで出演者と会ってしまったり、ここまでアットホームでこじんまりしたお芝居を観るのは、大学のテント公演以来じゃないだろうか。
ロビーに置いてあった役者のアルバムを見ると、コスプレ芝居のような感じなので、ちょっと不安に。
座席は自由席なので、前から2番目の真ん中に座らせていただく。スタジオは、教室ぐらいの広さで、半分が舞台、半分が客席なので、どの席に座っても、役者の顔は、ばっちり見える。
公演の中身は、登場人物の設定が前回公演とつながっているらしく、初めに模造紙に書かれたイラストで説明を受ける。拍手は歓迎するけど、役者の姿を見て、「キモーイ」などと言わないで下さい、凹みますからというのがおかしかった。
何だか、小学校のときのクラス学芸会みたいだなあと思った。
で、その思いは、お芝居が始まってからも、しばらく続き、ちょっと場違いな場所に来てしまったかもしれないと不安になる。
学園ものなので、もっと今風の女子高生が出てくるのかと思ったら、そうでもなく(^^;)、皆さん、健康的な足で(^^;)、それはそれで好ましかった。
最初は、単なるドタバタコメディで、ただ騒いでいるだけなのかな?と思っていたけれど、だんだん、ストーリーが進んでくると、引き込まれていった。
聖ルドビコ学園の姉妹校である男子校「聖アントニオ学園」のサッカー部キャプテンの林くんが、サッカーの試合で怪我をして死んでしまう。その林くんを生き返らせるために、生徒会長桜木さやかの友達で、中国姉妹校のリンちゃんが、自ら交通事故に遭い、銀河鉄道に乗って、林君を追いかけていく。
そこからは、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をモチーフに、愛と笑いとコスプレと歌と踊りのめくるめく世界が展開される。
一人でいくつもの役をこなす主演の桜木さやかさんが、すばらしい。しかも、脚本と演出まで手がけている。
また、女子高生とパンダの役をこなす工藤利恵さんも、個性的で目が離せない。
「BLEACH」で白哉を演じた林さんとは全く違う林さんも、かっこよくて、マニアックだった。某監禁事件を彷彿とさせる王子役は、特にハマっていたと思う。
バレリーナになったり、ムチをふるったり、オスカルが出てきたり、メーテルが出てきたり、電車男ネタや時事ネタを入れたりと、一つ一つのシーンの芸が細かく、面白くて、笑いっぱなしだった。
『銀河鉄道の夜』にも出てくる授業のシーンでは、先生役の桜木さんが、アドリブで楽屋ネタを暴露するのが大受けだった。特に「BLEACH」を観た人向けの林さんネタが面白かった。林さんは、楽屋で、恋次の持ち歌を歌って踊っていたそうで(^^;)。また、「今日、観に来ている女性客が、全部自分のファンだと思うのはやめなさい。」みたいなセリフにも大笑い。
お笑いばかりで終わったわけではない。カンパネルラとジョバンニの哀しいお話も描かれ、そのシーンには、ホロリとさせられる。
とにかくよく練られた構成で、楽しいひとときを過ごせた。また次回の公演も観ようと思った。
アンケートに答えたら、協賛の明星食品の春雨ヌードルをもらった。スタッフに声をかければ、役者さんともお話できるみたいだった。